密室の恋人

 



 まずいまずい。

 なにかこう、物凄い勢いで流されていってるような。

 凛子は廊下を歩きながら、大きな窓から外を見た。

 やけに暗くなっている。

 雨かな?

 嵐とか来ないだろうな、と思いながら、少し強くなった風に揺れる木々を見ながら、一階に行く。

 キッチンで冷蔵庫を開けて、しばらくじっとしていると、
「なにを作る気だ」
と言われた。

「は?
 ああっ。

 開けっ放しだった!」
と慌てて閉める。

 いつの間にか後ろに立っていた蒼汰に、

「なにって……。
 えーと、そうですね。

 ……焼肉?」
と答えた。

「見事な手抜きだな」

 今、冷蔵庫の中を眺めている意味はあったのか、と言われてしまう。

「でも、此処で焼肉すると、油が飛びそうですね。

 外はなんだか天気悪くなってきたし」
と窓を見ると、

「嵐になるかもな」
と言われる。

「だ、大丈夫ですか?
 船、流されたりしないですか?」