密室の恋人

 広いキッチンなので、二人で作業しても、邪魔にはならない。

 蒼汰は慣れた手つきで、玉ねぎをスライスしながら、
「お前、意外なことが出来るじゃないか」
と凛子を見て言う。

 オムライスは、卵で巻くのではなく、上にオムレツを載せて、切れ目を入れて覆うタイプのにしようと思ったのだが。

 実は、オムライスだけは、フライパンを軽く振り、卵を舞わせて、華麗に作れる。

 ふふふふ、と勝ち誇ったように凛子は笑った。

「こういうのは出来るんです。

 ガス火で炒飯を宙に飛ばして、炒めるのも出来ますよ。
 でも、レパートリーはありません」

「……威張るとこか」

 料理が出来上がり、この広さのテーブルを二人でどうしろと? と問いたくなるダイニングで庭を眺めながら、昼食をとる。

「蒼汰さん、美味しいですっ。
 このオニオンスープ!」

 作ってるときは、本当に普通のオニオンスープでのようだったのに。

「なにが違うんだろう?」
と飲みながら真剣に悩むと、蒼汰は機嫌よく言った。

「じゃあ、夜はじゃがいものスープを作ってやろう。

 ドイツ人の家庭教師の得意料理で、よくご馳走してくれてたんだ」

「やっぱ、家庭教師とか居たんですね。

 なにかこう、勉強しなくても、出来るようなイメージかあったんですが」
と言うと、阿呆か、と言われる。