密室の恋人

 



「お昼は、サンドイッチか、オムライスです」

 巨大な冷蔵庫の中を見ながら、凛子が言い切ると、
「それしか材料がないような口ぶりだな」
と腕組みして、後ろに立つ蒼汰が言った。

「だから、言ったじゃないですか。
 私の腕に期待しちゃ駄目だって」

 もう一度、中身の詰まった冷蔵庫を振り返り、
「あ、チキンライスもいけそうです」
と言うと、蒼汰は、

「使う材料減ってるじゃないか」

 何故、今、わざわざ確認した、と言ってくる。

「わかった。
 お前、オムライスを作れ、俺がスープを作る」

「ええっ。
 いいですっ。

 貴方にそんなことしていただいたら、無礼討ちにされそうですっ」

「誰がするんだ」

 此処は無人島だと言っただろう、と言う蒼汰に、

「いや、監視カメラのひとつやふたつあるかもしれないじゃないですか」
と言うと、

「そりゃ、あるかもな」
と言う。

「私が貴方に無礼を働くと、その辺の扉が回転して、鎧武者が槍持って出てくるんですよ〜」

「……お前、普段、どんな本読んでんだ?」

「ミステリーかホラーか、冒険小説です」
と言うと、ああ、と言いながら、冷蔵庫を開ける。

 どんな意味の、ああ、だろうな、と思った。