密室の恋人

「いや、勘弁してください」
と本気で懇願すると、蒼汰はまだ開いていた本を閉じ、

「じゃあ、膝枕してくれたら、許す」
と言った。

「えー。
 まあ、いいですけど」

 広いソファだ。

 凛子は本を読み、蒼汰はその膝に頭を預け、目を閉じている。

「……寝ました?」

 半分くらい本を読んだところで、凛子は、そっと訊いてみた。

 寝ているのかと思われた蒼汰の口が開く。

「寝てはないが、いい気持ちだ。
 最近、夜、よく眠れなくて」
とらしくもないことを言い出した。

「どうしたんですか?
 地震が起きても、寝てそうなんですけど」

「俺を鈍いみたいに言うな。
 確かに地震が来ようが、雷が鳴ろうが、起きないが」

「危険ですよ、それ」

「そのときは、お前が連れて逃げてくれればいいだろう」

 そう言う蒼汰に訊いていた。

「ーーなんで、私なんですか?」

 うっすらと覚えていた。

『蒼汰さんは、負けず嫌いだから。

 あのとき、覗いてたのが誰であっても、こいつと結婚するとか言っちゃう人なんですよね?』
と言ったら、

『……言うわけないだろう』
と言ったときの蒼汰の顔を。