密室の恋人





「すごい。
 学校の図書室より、本多いですね」

 なにも持って来ていないので、本を借りたいと言ったら、蒼汰は、書庫に連れて行ってくれた。

 学校の図書室というより、映画などで見る貴族の屋敷にある図書室みたいだ。

 天井まで本があって、暖炉があって。

 その上に絵があって、木製の移動式踏み台がある。

「あの絵を動かすと、暖炉の奥がゴゴゴゴゴッて動いて、抜け穴がーー」

「やってみろ。
 うちのジイさん、そういうの好きだから、仕掛けのひとつやふたつ、あるかもしれんぞ」
と言うので、

「はいっ」
と言って、踏み台を移動してくると、

「……本気か」
と言う。

 昨日から、私が変人だと思っているこの人を、私が呆れさせているような気がするのだが。

 気のせいだろうか。

 そんなことを思いながらも、踏み台に上がり、絵を外そうとしたが、重くて落としそうになる。

「そっ、」

 蒼汰さん、と呼ぶまでもなかった。

 踏み台の、凛子が居るより、一段下に足をかけた蒼汰がそれを支えてくれたからだ。

「お前、こういうときは、素直に蒼汰と呼ぶんだな」

 その都合のいい反射神経嫌いじゃないぞ、と言われる。