密室の恋人

「……今、誰も居ないんですよね? この島」

「そうだな」

 うーん。
 この凄い別荘に二人だけかあ。

「気楽でいいだろう」
と蒼汰は言うが、とりあえず、彼を満足させられる食事が作れるかが心配だった。

 だが、まあ、よく考えれば、別に、蒼汰に気に入られたいわけでもない。

 とりあえず、美味しい食事をなにも考えずに、美味しくいただくことにした。

 なにも考えずに、船に乗って、なにも考えずに、楽しく夜景を眺めていたら、こんなところまで連れて来られたことも綺麗さっぱり忘れ。

 また同じことを繰り返している自分に気づかないまま、凛子は美味しく朝食をいただいた。