密室の恋人

「成仏したとか言ったっけ?

 あのエレベーター……」

 そう言いかけた陸人の言葉を聞かずに、凛子はベッドの下に手を伸ばす。

 足許に隠してあった袋の中身を全部、蒼汰の頭に振りかけた。

「しょっぱっ……!」

 こんなこともあろうかと、密かに塩を大量に用意していたのだ。

「魔よけです」

 そう言い放つ凛子に、陸人は、

「僕、ナメクジじゃないんだけど!?」
と叫んでくる。

「貴方がそんな簡単に成仏すると思わなかったんで、用意しておきました」

「結婚祝いを言いに出てきただけじゃん!」

「聞きました。
 成仏してください」
と残りの塩をつかみ、拝んでみせると、

「わかったよっ、もう〜っ」
と言った陸人は、

「本当にお祝い言いたかっただけだよ。
 今日のところはねっ」
と言う。

 今日のところは?

 一抹の不安は残ったが、陸人は消えてくれた。