密室の恋人

 


「なに言ってんだ。
 凛子を好きになったのは、俺が先で、お前が後だ」

 エレベーターの中、そう言った蒼汰を陸人は鼻で笑う。

「相変わらずだね、蒼汰くん。

 僕はさ。
 君のようになりたいと思っていたんだよ。

 いつも堂々としてて陽気で」

 いや、お前の方が押しが強いだろ、と思いながら、蒼汰は聞いていた。

「どうしようか。
 このエレベーター、落としてみようか?

 君が居なくなったら、凛子ちゃん、どうするかな。

 僕と蒼汰くん。

 どっちも霊になったら、条件変わらないと思わない?」

 そう陸人が言った瞬間、エレベーターの電源が落ちた。

 真っ暗になり、停止する。

 陸人の仕業かと思ったが、彼自身が、えっ? と声を上げる。

 だが、すぐに明かりがつき、エレベーターは緩やかに下に向かって動き出した。

 次の階で停止する。

 停電時のバッテリー運転のようだった。

 案の定、マニュアル通りに下の階で扉が開く。

「蒼汰さんっ」

 凛子の声がした。

 蒼汰の手をつかんだ凛子は、蒼汰をエレベーターの外へと引っ張り出す。

「凛……っ」

 言い終わらないうちに、凛子は自分がエレベーターに乗り込み、素早く扉を閉めた。

「凛子っ!」

 蒼汰はひとり、固く閉ざされた扉を叩く。