「そうですか。
陸人さんを説得してくれたんですか」
屋上へ続く人気のない階段の途中で、弥は凛子と座り込んで話していた。
さすがに、霊を相手に話すのは疲れたからだ。
「あれもまた、一筋縄ではいかない男だね。
まあ、そんなんじゃないと、悪霊にはならないか」
と言うと、
「悪霊……なんでしょうかね」
凛子は迷うようにそう呟いた。
いや、あれ、顔は綺麗だけど、悪霊だろう。
これだけ凛子を振り回している時点で、自分たちにとっては悪霊だ。
「いっそ、蒼汰くんじゃなくて、凛子ちゃんに憑いたらって言ったんだけどね」
と言うと、えっ、と凛子が引く。
「だって、それなら、あいつ、ずっと黙って、凛子ちゃんを見てるだけじゃない」
「い……いやいや、それはそれで困るんですけど〜」
「まあ、二人のどっちに憑いてても、迂闊に、あいつを排除する計画、立てられないよね。
そうだ。
紙に書いて、打ち合わせたらどうだろう。
あいつ、あんな顔しててても、知識的には所詮、子供だから、難しい漢字いっぱい書いたら読めないと見た」
「ど、どうなんでしょうね。
かなり賢そうな感じですけど」
漢字検定とか持ってそう、と凛子は呟く。



