密室の恋人

「ねえ、呆れついでに成仏しない?」

「しないよ。
 ねえ、なんで、そんなに必死なの?

 僕が消えたら、なんの障害もなくなって、凛子ちゃんは蒼汰と結婚して終わりだよ。

 あんた、なんにもいいことないじゃん」

「でも、凛子ちゃんが辛そうなのは見ていたくないから。

 大丈夫。
 二、三年結婚させとけば、凛子ちゃん、蒼汰くんに飽きるよ。

 そしたら、そこに僕が颯爽と現れるから」

「前向きだね」

「だって、園田だって、あんなこと言ってるけど、結婚当初は旦那とラブラブだったんだよ。

 ああこりゃもう駄目だなって、僕が思うくらい。

 なのに、今、あれだもん。

 凛子ちゃんにだって、何処かで隙ができるはず」

「いいねえ、時間のある人は呑気で」

「なんで?
 霊の方が時間あるでしょ。

 それとも、やっぱり成仏する気なの?」

「ないけど。

 僕にもこの世界のことはよくわからないから、知らない間に、はい、貴方が生まれ変わる順番ですよって、祟ってる最中に引っ張っていかれるかもしれないじゃない」