「凛子ちゃん、ちょっと疲れてない?」
と頬に触れてくる。

 飛んで逃げながら、
「つ、疲れてません」
と言うと、ふうん、そう、と軽く流してきた。

 そのあと、話をそらすように、違う話題を出すと、弥は少し話して帰っていった。

 ああ、よかった。
 上村さんって、突然、なにを言い出すかわからないもんな、と思いながら、服をきちんと直して、廊下に出た。

 弥の姿はもうなかった。