「蒼汰さん?」

 目を覚ますと、凛子が心配そうに自分を見ていた。

「大丈夫ですか?」

「ああ……すまん。
 なにか悪い夢を見て」

「まあ、自称悪霊さんが憑いているわけですから、熟睡はできないですよね。
 もうひと眠りしますか?」
と訊いてくるのだが、既に外は明るいようだ。

 遅刻はできない。

 だが、心配して、凛子は自分を寝かしつけようとする。

 子供にするように、ぽんぽん、と布団の上から叩いてきた。

「いや、起きるって。
 そうだ、凛子、大丈夫だったか?」

「陸人さんですか?
 大丈夫ですよ」
と凛子は微笑む。

「本当か?」
と起き上がった蒼汰は、凛子のパジャマの上着をつかみ、おもむろに脱がしてみた。

 肌が露わになった凛子は、
「なにするんですかーっ」
と叫んで、慌てて服を着ようとする。

「……いや、ちょっと待て」
と凛子を止めた。