密室の恋人





 陸人に膝枕をして、すぐに寝息を立て始めたのは、やはり、凛子の方だった。

 ゴン、とまたベッドに頭をぶつけている。

 陸人は、あーあ、と思いながら起き上がる。

 また寝ちゃって。

 すかーっと気持ちよさそうに寝ている凛子に笑い、ベッドに寝かし変えてやる。

 眠いのに無理しちゃって、凛子ちゃん。

 寝返りを打った凛子の手が自分の腕に触れてきた。

 手を伸ばしかけてやめる。

『陸人さん、やっぱりやさしいなと思って。
 心配していただいてありがとうございます』

 そう照れたように微笑む凛子の顔が頭をよぎったからだ。

 信頼ってのは、鎖だな、と思った。

 手錠よりも強い鎖。

 そんなこと言われたら、なにもできない。

 陸人は凛子の身体にそっと布団をかけてやる。

「……いい人なんて、なんにもいいことないよ。

 蒼汰こそ悪人だろ。

 強引に君を手に入れて」

 凛子と蒼汰の結びつきを思うと、無性に寂しく感じるけれど。

 だからって、凛子の言うように、また生まれ変わって、すべてを忘れてやり直すなんてできない。

 恐ろしい。

 だって、そこにはきっと、凛子が居ないから。