密室の恋人

 目の前には、無人島なのに、コテージだか、海の家だかわからないものがあり、煉瓦で出来たバーペキューコンロも幾つか並んでいた。

 海の家の横、見慣れぬ形の木々の間に真っ直ぐ奥に向かい、抜ける道があった。

「此処はうちの島だ。
 奥に別荘がある」

 木の種類が少し南国風に見えたので、思わず、
「此処、日本ですか!?」
と訊いてしまったのだが、

「プレジャーボートでそんなに走れるか。

 あの木はジイさんが南国に憧れて植えたんだ。

 一発で根付かなくて、何度も植え替えたと言っていた」
と言う。

「そ、そうなんですか。
 あの、もうひとつ訊いてもいいですか?」
と言うと、

「お前は探偵か」
と言われる。

「なんでですか」

「大抵、言うじゃないか、探偵って奴は。
 ああ、もうひとつよろしいですかって」

「今、笑う余裕ありません。
 っていうか、貴方、ミステリーも好きなんですね」

 いや、訊きたいのはそこじゃなかった、と思いながら、
「あのー、なんで、私、此処に居るんですか?」
と言うと、

「お前が会社を見たくないと言ったからだ」
と言う。

「は?」