密室の恋人

 


「蒼汰さん……!」

 玄関に現れた蒼汰の姿を見た凛子は泣きそうになった。

 何故か、蒼汰は侑斗に抱きつかれていたが。

「蒼汰さんっ。
 会いたかったですっ」
と凛子は蒼汰に飛びついた。

「俺ごと抱きつくなーっ」
と侑斗が叫ぶ。

「お前ら、数時間しか離れてなかったってわかってるのか?

 ……言っても無駄か」
と呟き、侑斗は静かに去っていった。

 確かに、人から見たら、莫迦じゃないのかと言われる状況かもしれないが。

 あんな風に別れての数時間。

 言葉にできないくらい辛かった。

「蒼汰さん、大好きですっ」

 今度は侑斗を間に挟まずに、蒼汰に抱きつく。

 蒼汰はさっき、侑斗にしていたように、背中をぽんぽん、と叩いてくれる。

「それは俺が今、言おうと思ってたんだ」

 蒼汰はそのまま口づけてきた。

「凛子、明日、ディナークルーズに行きたいか?
 それとも、ドレス見に行くか?」

「どっちでもいいです。
 蒼汰さんが居ればいいですっ」

 侑斗が居たら、莫迦じゃねえの、と呟くところだな、とちょっとだけ残っている冷静な自分が思っていた。