密室の恋人

 それにしても、陸人を凛子に近づけないためには、自分が凛子の側に行かないのが一番だなんて。

 壁の鏡に、窓際の藤の椅子で脚を組み、考え込む自分の姿が映っている。

 その顔が少し笑ったように見えた。

「いきなよ、蒼汰。
 凛子ちゃんのところに。

 お前が寝てしまえば、凛子ちゃんは僕のものだ」

 幻聴か。

 耳許で、そんな囁きが聞こえた気がした。

 元が子供なだけにタチが悪いな、と思う。

 店で寝転がって、オモチャが欲しいと駄々を捏ねる子供と同じだ。

 手段を選ばず、欲しいものを手に入れようとする。

 おまけに、此処が問題なのだが。

 そこまでやっても、なんとなく憎めないというか、可愛らしい。

 乗っ取られている自分がそう思うのだがら、凛子なんかもっとだろう。

 あいつ、母性本能強そうだしな。

 にゃーを可愛がるように、陸人も可愛がりそうだ。

 ああ、凛子のところに行きたい。

 にゃーを子供みたいに真ん中に挟んで、二人で眠りたい。