密室の恋人

 起き上がった凛子は、侑斗と向かい合い、紅茶を飲んでいたが。

 やがて、
「……訊いてくれる?」
と小さく言った。

「じゃ、お前がそれ、食ったらな」
と侑斗は言ってくれた。

「出来たら、飯も食え。
 まだ食ってないんだろう。

 下から持ってきてやるから」

「便利ね」

「だろ?
 だから、俺と結婚してみるかと訊いてるんだ」

「お弁当とスイーツ目当てに?」
と笑うと、

「酒もあるぞ」
と言う。

「酒……そうだ。
 撤去して欲しい酒があるのよ」

「俺の妻になったら、品揃えにも口出してもいいぞ」

 そこまでして、店の商品に口出ししたくない、と凛子は笑った。

「ありがとう、侑斗」

 いい香りのする紅茶の湯気を顔に浴びると、少し気持ちが落ち着いた。

「いやいや」
と侑斗は気のない声で言う。

 いつもこんな口調だが、結構親切。

 実はかなり感謝しているのだが、近すぎるがゆえに、口に出すのは恥ずかしかった。

 だが、侑斗なら言わずともわかってくれているような、そんな気がしていた。

 砂糖の入っていない紅茶を一口飲み、凛子はテーブルに置かれた侑斗と自分の携帯を見つめた。