密室の恋人

「別れたときは、そうやって思うんもんだが、そのうち、また誰か好きになって付き合えるもんだよ。

 お前は蒼汰が初めてで経験ないからわからんだろうが」

「あんたが長く落ち込んでるの見たことないんだけど。

 今まで全部、本気じゃなかったんじゃないの?」

「……なんで、慰めてる俺に毒を吐く」

「ごめん。
 でも、なにか既に別れてる体(てい)で話が進んでるのが気になって」

「だって、蒼汰さん、来ねえじゃん」

「今日来ないって言ったもん」

「用事があるって言ったのか」

「……言わないけど」

「あー、もう、紅茶も淹れてやるから、テレビでも見てろ。

 ほら、お前の好きなお笑い、録画してたろ、この間」

 こういうとき、なんでも知っている幼なじみというのはありがたい。

 キッチンのものも、なんでも把握してるな、とクッションの上から侑斗を窺う。

 自分などより余程効率良く、うちのキッチンでお茶を淹れている。