密室の恋人





「おっ、凛子どうした、ひとりで」

 凛子がぼんやり、シャンプーとトリートメントの入ったトラベルセットを見ていると、侑斗が声をかけてきた。

「今日はひとりでご来店か。
 いよいよ、蒼汰さんに振られたか」
と笑っている。

 なにか言葉を返す気力もなく、ぼんやりしていると、行きかけた侑斗が戻ってくる。

「どうした、ほんとに」

「……蒼汰さん、今日は来ないって」

「え。

 あ、いや。
 まあ、今までが来すぎなんだよ。
 これで普通だろ。

 それとも喧嘩でもしたのか」

「喧嘩ってわけじゃないような。
 あるような……。

 私だって、腹立ててたんだけど。

 そんなこと、もうどうでもいいような」

「あの人になに腹立てることがあるんだよ」
と言う侑斗を

「なんで、あんた、蒼汰さんの味方なのよ」
と睨むと、

「いや、なんとなく」
と言う。