密室の恋人





 手が温かいな、と蒼汰は思った。

 ゆっくりと目を覚ますように意識が戻る。

 気がつくと、あのソファに凛子と並んで座っていた。

 何故か手をつないでいる。

「凛子?」
と呼びかける。

 凛子が何故か泣いていた。

 すぐに、
「……蒼汰さん?」
と呼びかけてくる。

「どうした。
 誰がお前を泣かしたんだっ?」

「蒼汰さんですっ」

「えっ、俺?」

「っていうか、手嶋陸人さんですっ」

 手嶋陸人……。

 ああ……そうだ。

 そういえば、あいつ、そんな名前だった、と思う。

 それを思い出すときは、もっと衝撃があるだろうと思っていた。

 だが、今、つながっている手の温かさのせいか、そこまでのインパクトはなかった。