密室の恋人

 びくりとして、蒼汰が動きを止めた。

「陸人さんっ。

 そこまでですっ。
 もうやめてください!

 これ以上、蒼汰さんを好きな人が現れたら、どうしてくれるんですか~っ」

 さあ、来てくださいっ、と凛子は彼の耳を引っ張る。

「り、凛子……?」
と事態についていけずに呼びかけると、

「すみません、千尋さん。
 この人、蒼汰さんの従兄弟の陸人さんです。

 顔はそっくりなんですけど」

 性格が、と言う。

「えっ、いや、どうりで印象が違うと思った」
と言うと、

「ほら、バレたじゃないですか。

 陸人さんが、蒼汰じゃないってバレるか試しに行くって言い出して、すみません」
と頭を押さえて下げさせる。

 千尋はマジマジと彼を見たあとで、笑った。

「なるほど、なるほど。
 そういえば、表情も言動も伊月蒼汰じゃないわ。

 もうちょっと子供っぽいかな」

「なにそれ。
 さっきまで、僕にキスして欲しそうだったくせに~っ」

「此処でそんなことで揉めないでくださいっ」

 そう凛子の方が赤くなって騒ぐ。