弥が凛子と別れ、階段を下りていると、煙草を吸い終わったらしい友人が追いかけてきた。
「上村っ」
と抑えた声で呼びかけてくる。
足を止め、振り返ると、彼は少し慌てた様子で言う。
「上村、やばいよ。
あれ、伊月颯太の彼女だろ?
あいつ、社長の親族だって噂があるんだよ」
社長の親族どころか、会長の息子だよ、と笑顔のまま思っていた。
「お前、あの子にちょっかいかけてると、会社に居られなくなるぞ」
「蒼汰くんは、そこで権力を行使したりとかしない人だよ」
大丈夫大丈夫、と軽く笑ってみせる。
「お前さあ。
いつもほんとに……」
あ〜っ、と頭を掻いたあとで、
「お前っ、あの子なら、まだ園田の方がマシだよっ!」
と言ってくる。
いや、あれ、既婚者だから、と思いながらも、心配してくれる友人がありがたかった。
「でもさ、もう、止められないから」
「え?」



