密室の恋人

「確かに燃え下がる発言ですね」

「でもさ、この長寿社会。
 老後の方が長いよ。

 一緒にまったり過ごせる相手にした方がいいと思うよ。

 考えておいてね」
と言い、弥は手すりに手をつき直すと、軽く頬に口づけてくる。

「かっ、上村さんっ」

 此処、会社ですっ、と弥に触れられた頬に手をやり、訴えると、
「ああ、会社じゃなきゃいいんだ?
 昨日みたいにホテルとか?」
と言ってくる。

「そうじゃなくてーっ」

「いや、僕にもケジメってものがあるからさ。
 凛子ちゃんがいいって言うまで、頬までしかしないと決めたんだ」

「貴方にもケジメってものがあると初めて知りましたよ……」

 っていうか、人の彼女に手を出さないというケジメはないのか、と思った。

 そして、ぎくりとする。

 屋上の入り口にいつかの弥の友人が煙草を手に立っていたからだ。

 唖然として、こちらを見ている。

 だが、さすが、弥は動じない。

 笑顔で、
「ああ、僕たち、寒いからもう入るよ。
 此処、どうぞ」
と笑顔で言う。