密室の恋人

 その表情に、自分が困った人間だという自覚はあったのか、と思った。

「蒼汰さんを好きっていうのと、好きの種類が違いますけどね」

 ふうん、と言った弥は、
「じゃあ、僕と結婚しようか」
と言ってきた。

「……いや、なんでですか。

 随分上村さん的展開に慣れてきたと思ってたんですが。
 さすがにこれはちょっとついていけないです」
と訴えると、

「だって、君は蒼汰くんが好きなんだろう?

 蒼汰くんと居ると、どきどきする」
と人差し指を振りながら言う。

 先程の倉庫でのキスを思い出していた。

「そういう相手とは結婚できないよ。
 っていうか、しても長続きできないよ」

「ええーっ。
 なんでですかっ」

「カーッと燃え上がる恋愛は一瞬のものだから」

 一瞬で燃え尽きるでしょ、と弥は言う。

「だからね、僕と静かに老後を過ごそうよ」

 老後って……。