密室の恋人





 昼休み、みんなで食堂に行った。

 券売機で、あっ、と凛子は声を上げる。

「二枚押しちゃった」

 蕎麦とおむすびのセットを二人分出してしまっていた。

 あーあ、と言っていると、後ろから一枚取られる。

「じゃあ、僕が一枚買ってあげるよ」

 弥だった。

 友達と一緒に食堂に来たようだ。

 此処で会ってどうする、と思う。

 なんのために、屋上で待ち合わせたのやら、と思っていると、
「はい」
と上村は五百円玉を渡してくる。

「あ、すみません。
 って、お釣りが……」

「いや、いいよ」
と言うので、

「そういうわけにはいきません」

 特に今、借りを作りたくないぞ、と思いながら言うと、

「いいって。
 あ、じゃあ、僕が、君をお釣りの二百十円で買ってあげよう」
と券を掲げたまま言う。

「……買っていりません」