密室の恋人

「蒼汰さんと居るのは楽じゃないですよ」
と棚から赤と青のボールペンの入った白い箱をそれぞれ出しながら言った。

「なんでだ」

「どきどきするからです」

 ふうん、と言う蒼汰の手がスチール棚にかかった。

 そのまま、肩をつかまれ、棚に押し付けられる。

「こっ、此処は駄目ですっ。
 此処はっ」

 扉が開いてますっ、と叫ぶ。

「どうせ、俺と居るとどきどきするんだろ?」
と蒼汰は顔を近づけてくる。

 いや、そのどきどきと、人に見られるかものどきどきは別ですよっ、と思っていた。

「まあいいじゃないか。

 ……もっと、どきどきしろ」
と蒼汰は口づけてくる。

 いや、こういうのどうなんだろうな、と思いながらも、棚から離れ、後ろ頭にまわった蒼汰の手を払うことはしなかった。