密室の恋人

 本当に蒼汰が立っていた。

 総務に用事で来たらしい。

 わざとだな~、と去り行く千尋に拳を作る。

 復讐かっ。

「凛子」
「は、はいっ」

「赤と青のボールペン」
と蒼汰に備品請求の伝票を突きつけられる。

「はっ、はいっ」

 倉庫までついてきながら、蒼汰は、
「格好いいし、大人だし、落ち着いてて……
 なんだっけな?」
と呟いている。

「も、もう忘れました」
と言う声が、掠れてしまう。

「楽だし、が最悪だな」

 覚えてるじゃないですか。

「あれは一般論です」
と言うと、

「余計悪い気がするが」
と言われる。