朝、給湯室で、千尋と出会った。
美晴たちも居て、いつも通りに話し、さあ、仕事に、と思ったとき、千尋に後ろから髪を引っ張られた。
「いてて」
と給湯室によろけて戻る。
「凛子、昨日の話、知ってる?」
えーと、と困っていると、
「上村、あんたに泣きついてきたんじゃないの?」
と言ってきた。
お見通しのようだ。
低い冷蔵庫に肘ですがり、千尋は言う。
「全部、旦那に話したの」
「えっ」
「夕べのこと、旦那に話した。
喜んでくれたわ」
何故っ!? と思う。
「やっと踏ん切りついたんだねって笑ってた。
わかってたみたいなの。
私が上村に想いを残していたのを」
千尋さんの旦那ののろけ話は自分の思いに蓋をするためだったのか、と今、気づいた。
上村さんは上村さんで、あんなに千尋さんのことを長く引きずっていたのに。
うまくいかないもんだな、と他人事ながら、切なくなってくる。
「凛子」
「はい」
「上村と幸せにね」
「なんでそうなるんですかっ。
私は蒼汰さんと……!」



