密室の恋人

「そんな微笑ましげに見ないでよ」
と彼は少し気まずげに上目遣いにこちらを見る。

 ちょっとだけ微笑み、訊いてみた。

「成仏しませんか?」

「しないよ。

 ねえ、凛子ちゃん。
 僕に成仏しろって言うのは、死ねって言ってるのと同じなんだよ」

「違いますよ。
 また産まれてくるってことですよ。

 そうだ。
 私が産んであげましょうか?」

「死んでもやだ」

「あの、霊ってずっと起きてるんですか?
 眠らないんですか?」

「身体、ないからね」

「でも、ちょっと横になったらいいですよ。
 蒼汰さんの身体に入ってる今なら、少し眠れるかもしれませんよ。

 蒼汰さんと一緒に」
と言うと、

「最後の一言はいらないよ」
と言う。

「……ああ、でも、そうだな。
 凛子ちゃんが膝枕してくれるのならいいよ」

 んー、と考え、
「まあ、いいですよ」
と凛子は言った。