誰かが激しく壁を蹴っている。
近所迷惑だ。
欠伸をしながら、凛子は立ち上がった。
弟の部屋に行く。
ドアを開け、言った。
「こんばんは。
夜なので、静かにしてください」
「凛子ちゃん、なにこれっ。
縄はひどいよ。
明日、痕になってたらどうすんのっ。
蒼汰、会社でいろいろ言われるよっ」
とエレベーターの人が言ってきたので、凛子は笑う。
「おや?
蒼汰さんの心配ですか?」
「そうじゃないけど……」
と言う霊に、
「貴方が暴れなきゃいいんですよ」
と言いながら、側に腰掛けた。
「……そんなに僕の側に来て、大丈夫なわけ?」
蒼汰の顔で上目遣いに見ながら、彼は訊いてくる。



