密室の恋人

 そのまま蒼汰は口づけてきた。

「蒼汰さんが好きです。
 ずっと好きです。

 一生好きです。

 だから、浮気とかしないでくださいっ」

「いや……今回、浮気しかけたの、お前だよな?」

 確認するように、そう言われるが、浮気しようとした覚えはない。

 シチュエーション的にどうであっても。

 ところどころ濡れて色が濃く変わっている蒼汰のスーツを見ながら、
「蒼汰さんも濡れちゃいましたね」
と言うと、

「いい。
 泊まっていくから」
と言う。

「でも、あんまり外泊が多いと、お母さまが心配されますよ」

「うちの親は家に居ないことが多いし、俺が居ても居なくても、あんまり気づいてない。

 槙村に言われるだけだ。

 程々にしとかないと、飽きられますよって」

 まだ会ったことのない槙村父は、既に頭の中では、老中のようになっていて、裃を着ている。

 笑ってしまった。