密室の恋人

「貴方が他の人とそんなことしたら、殺します。

 だって、絶対やだもんっ」

 思わず、想像してしまい、泣きそうになると、蒼汰は、
「……勝手な奴だなあ」
と呟く。

 だが、見上げた顔は笑っていた。

「だって、私は私がやましくないことを知ってるけど。

 蒼汰さんがなにしてるかは、私にはわからないじゃないですかっ」

「どういう意味だ、こらっ」
と言いながら、シャワーを止めた蒼汰は普通にお湯を張り始める。

「服が濡れます」

「もう濡れてるだろ」

 凛子、と呼びかけられ、顔を上げると、軽くキスされた。

 蒼汰は浴槽に手をかけ、子供を見つめるように見ると、
「本当にお前は、誰かを好きになったことも、付き合ったこともなかったんだな」
と言ってくる。

「なんでですか」

「いや……」
と言ったまま、蒼汰は笑っている。

「なんでですかーっ?」
と気になったので、半泣きのまま、しつこく訊いてみた。

「……初々しいから」

 そう言い、お湯の中から凛子を抱き上げる。

「びしょ濡れだな」
と膝に抱えて笑う蒼汰に、

「貴方が濡らしたんですよ」
と文句を言う。