密室の恋人

「あっ、はいっ。
 お料理、楽しみにしてますっ。

 この間、レストランのパンフレット見せてもらって、ちょっとネットで検索してみたんですけど。

 すごく美味しいみたいですね。
 楽しみですっ。

 ちゃんと食べられそうなドレスにします」

「花嫁の席で食べてる花嫁、あんまり見たことないんだが……」

 そう言ったあとで、凛子の肩を抱き、その耳許で言ってみる。

「……やっぱり式早くしようか」

「え?
 なんでですか?」

 いろんなことがめちゃくちゃ不安だからだっ、と思っていたが、言わなかった。

「あ、あのー、蒼汰さん。
 珈琲全部入りました。

 それから、あの、お店とかでベタベタしてるカップル、私、どうかなーと思ってたんですけど」

 手を離せと言ってるのだろうな、と思っていると、凛子は俯いて赤くなり、
「……ちょっと嬉しいですね、やっぱり」
と言ってくる。

 ほんと可愛いな、こいつは、と思うと同時に、なんだか、後ろからすごい視線を感じる、と思っていた。

 弥だろう。

 外から見えるからな。

 振り返りたくない。