密室の恋人

「私、ああいうとこ、初めて入っちゃいました。

 ちょっと中、見学させてもらったんですけど。
 普通のホテルと変わらなかったです」

「……そうか」

 なにか文句を言う気も失せるほど嬉しそうだ。

「どうかしましたか?」

「いや、どうせなら、俺と初めて入ってみればよかったのにと思っただけだ」
とせめて、そう言ってみたが、凛子は、

「嫌ですよ」
と笑いながら、機械に差し込んだカップを入れ替えている。

「蒼汰さんとは、おうちがいいです。
 ずっと、一緒に居たいから」

 こちらを見ずに、照れたようにそう言ってきた。
 
 なにか嬉しいような、危険な発言のような。

 夫とは家で、浮気は外で、と聞こえなくもないんだが。

 まあ、こいつのことだから、なにも深い意味はないんだろうな、と思う。

「そういえば、お前、ドレスはどうした」

「え?」

「ドレスまだ決めてないな。
 店の人間が、メニューは任せてくれって言ってたぞ」