密室の恋人

「蒼汰さんは、負けず嫌いだから。

 あのとき、覗いてたのが誰であっても、こいつと結婚するとか言っちゃう人なんですよね?」

「……言うわけないだろう」

「そうですか。
 そうなんですか」

「お前、なにを言われてるのか、わかってるのか?」

「さあ?」

 あのな、と呆れたあとで、蒼汰は少し笑ったようだった。

「すみません、酔ってはいないと思うんですが」
と蒼汰の反応を見ながら、大真面目に語ってみたが、

「お前、めちゃくちゃ酔ってるぞ」
と言われる。

「まあ、船のせいもあるだろうが」
と言う蒼汰に、

「いや、でも、私、人前ではあまり酔ったことないんですよ」
と言うと、彼は、

「それはよかった」
と言い、手を掴んで引き寄せ、口づけてきた

 ーーような気がした。