密室の恋人

 


 コンビニに入っていく凛子を見ていると、弥が、
「ごめんね、蒼汰くん。
 でも、僕、本当になんにもしてないからね。

 いや、なんにもとは言わないけど」
と言ってくる。

 そのフォローが余計嫌なんですが、と思っていた。

「大丈夫だよ。
 僕、凛子ちゃんだけは好きになりたくないんだよ。

 なんか振り回されそうだし。
 君みたいに」

 確かに……。

「今のまま、友達がいいよ。
 そしたら、ずっと一緒に居られるし」

 ミラーから窺うと、弥は凛子の姿が見える明るいコンビニを見ていた。

「付き合ったら、別れるだけだもんね」

 喧嘩売ってんですか、あんたは。

 付き合い始めのカップルの前で言うことだろうかな、と思った。

 凛子が珈琲を三つ淹れているのが見えた。

「ちょっと行ってきます」
と蒼汰は車を降り、コンビニに入っていく。

 凛子が機械の前で、せっせと珈琲を順番に淹れていた。