密室の恋人




 帰り道、弥が言った。

「頑張らなきゃね、僕。
 二対一だから」

「二対一?」

 交通量の少なくなった道。
 車が真横を飛ばしていくので、よく声が聞こえない。

 だから、聞き違いかと思った。

「悪霊と蒼汰くん、対、僕?」

「あのー、あの人、蒼汰さんの味方じゃないですからね」

 ははは、と笑った弥は、
「だって、実質、二人で一人じゃない。
 しかも、二人とも格好いいみたいだし。

 どっちを選んでも、二人ともついてくる。
 ずるいよね」
と言う。

 そういう考え方もありか。

 でも、ずるいってどうなんだ、と思っていると、弥は空を指差し、
「あ、凛子ちゃん、あの星座なにかわかる?」
と訊いてきた。

 この人も人の話を聞かないな、と思いながら、
「わかるわけないじゃないですか」
と言うと、

「やっぱり、女子力低いよね」

 僕より、と勝ち誇ったように笑う。

「上村さん~っ?」

 この人、本当に私のことが好きなのか? と改めて疑問に思った。