密室の恋人

「うわっ。
 凛子ちゃん、大丈夫?」

「い、今、貴方が私を転がしたんですよね~っ」
と膝を押さえて、振り向いた。

「いやー、そんなに綺麗に転ぶとは思わなかったんだよ。

 本当になんでも見事に罠にかかる人だね」
と言う。

「……もしや、千尋さんが此処に来たというのも嘘ですか?」

 転んだ体勢のまま、嫌な予感がしながら、そう問うと、
「いや、それは本当」
と言う。

「園田に電話して訊いてみなよ。
 僕とホテルに行ったかどうか」

「訊けるわけないじゃないですか」

「そうだねえ。
 ところで、それはなに?

 僕を誘ってるの?

 そんなずっとしゃがみこんでると、襲いやすいんだけど」

「膝が痛いんですよっ。
 床が硬かったから」

「ああ、安物だもんね、このカーペット」

 凛子は頑張って立ち上がった。