密室の恋人

「ほんとに面白いね、凛子ちゃんは。

 掃除のおばちゃんもそんなこと女の子に言われたの、初めてだったろうよ」

 普通なら、教えてもらえないかもしれないね、と言う。

「なんでですか?」

「旦那の浮気現場を押さえに来た奥さんかもしれないじゃない。

 刃傷沙汰を起こされたら、ホテルも困るから」

「……なるほど」

「まあ、そのあっけらかんとした顔で言われたら、なにも疑わないか」
と言い、くくく、と笑う。

 本当に困った人だ。

「ところで、蒼汰くんは?
 ほんとに一緒じゃないの?」

「迎えに来てくれるように連絡はしましたよ。

 そんなことより、これ以上、千尋さん、もてあそばないでくださいよ」
と言うと、

「だから、なに聞いてんの、もう。
 もてあそばれたの、僕の方だって」
と言う。

「ともかく、入ったら?
 どうせ、蒼汰くんがすぐ来るんでしょ?」
とノブをつかんだまま弥が言った。