密室の恋人

「迎えに行ってあげますから、素直に帰ってくださいよ。

 それから、千尋さんには、もう手を出さないでください」

『いやー、園田の方から言ってきたんだよ』

 は?

『いや、帰りに物言いたげにやってきたから、僕から言ったんだけどね。

 あれ、言わされたようなもんだよ』

「いやもう、弁解はいいですから。
 いい子にしててくださいよ」
と言うと、はいはい、とわかってるんだか、わかってないんだかわからない返事をする。

 弥との電話を切ったあとで、凛子は立ち上がり、蒼汰にメールをした。

『上村さんを迎えに鍋のところに行ってきます』

 よし。
 これでわかってくれるだろう。

 時計を確認する。

 そろそろ仕事も終わるはずだし。

 疲れてるところ悪いけど。

 上村さんには、蒼汰さんだって、世話になってるんだから、来てくれるかもしれないし。

 なにより、今の私にはこれがある。

 凛子は、それを手に取り、にんまりと笑ってみせる。

 にゃーが居たら、不気味がって逃げていたとこだろう、と自分で思った。