密室の恋人

『一人でこんなところから帰る気しないから。
 一人で出てくのもマヌケでしょ』

「いや、あの、一人で行くのも相当マヌケなんですけど……」

 蒼汰さんが帰ったら、そっちに迎えに行ってもらいましょうか? と言ってみたが、
『男二人で、此処から出て行きたくない』
と我儘を言い出す。

 いや、三人もどうなんだ、と思いながら、
「なんだかそろそろ貴方を殴ってもいい気がしてきましたよ」
と言うと、

『殴ってもいいから迎えに来てよ』
と弥は言う。

『ねえ、今、本当に結構傷心なんだよ。

 ……一緒に乗ってあげたのにな、エレベーター』

 本当に痛いところを突いてくるな、この人、と思ったとき、あるものが目に入った。

「わかりました。
 行きますよ」

『え?
 本当に?』

 かけておいて、来るとは思っていなかったらしい。

 半信半疑に弥はそう訊いてくる。