密室の恋人

「まだ仕事みたいですけど」
と言うと、

『そうかなー。
 誰か別の女の子と会ってるのかもよ』
と言う。

「あのー、唐突な嫌がらせはやめてください」

『そうだね。
 今から凛子ちゃんに泣きつこうと思ったのに、これはないよね』
と自分で嘘臭く反省してみせる。

『最近、君の顔を見ると、なにか一言言ってやろうかな、とか思っちゃうんだよね』

 あの、私、上村さんに、なにかしましたかね? と思った。

『ところでさ。
 僕、今、あの鍋のホテルに居るんだけど』

「は?」

 またなにしてるんだ、この人は。

 っていうか、ホテルから電話してくる人、初めて見たぞ、と思っていると、
『園田に逃げられちゃったんだよね〜』
と言い出す。

 ほんっとうになにしてるんだ、この人はっ!

「上村さん〜っ?」
と責めるように言ったが、弥は何処吹く風で、

『可哀想でしょ。

 ねえ、ちょっと迎えに来てよ。
 蒼汰くんも居たら、蒼汰くんも一緒に』

 いや、貴方、今、居ないこと確認しましたよね? と思った。