密室の恋人

「そうだ。
 朝の話ですけど。

 蒼汰さんは、途中で、すり変わったりしてないですよ。

 昨日、途中であの人から、蒼汰さんに変わったとき、すぐにわかったんですよ」

「あの……笑顔でそういう報告いらないから。
 結構聞いてるの、しんどいんで」

「なんでですか」
と言うと、

「僕、なんで蒼汰くんの匂いが嫌いになったかわかったよ」
と言い出す。

「時折、凛子ちゃんから、蒼汰くんの匂いがするからだ」

 はい?

 えい、といきなり、デコピンされた。

「な、なんなんですかーっ」
と額を押さえて言うと、行きかけて振り返った弥は、笑いもせずに、

「お仕置き」
と言って行ってしまう。

 な……なんなんだ、一体……、と思いながら、凛子は額を押さえたまま、弥を見送った。