パソコンで頼まれた配布書類を作りながら、凛子は昨夜のことを考えていた。
やっぱり、あの人、本当に悪い人だとは思えない。
蒼汰さんの顔してるせいかもしれないけど。
うーん。
あっ、でも、そういえば、上村さんは、それ、全部、蒼汰くん? とかふざけたこと言ってたけど。
昨夜、途中ですり替わったとき、わかったんだから、それはないってことよね、と思った。
「よしっ」
急に、タカタカと速く打ち始める凛子を見て、隣の美晴が
「どうしたの、ご機嫌じゃん」
と言ってきた。
向かいのデスクの先を歩いていた千尋がこちらを振り向いていた気がしたが、なにも言わなかった。



