密室の恋人

 そうか。
 だから、あんなにピュアな感じがしたのか、と改めて思った。

「じゃあ、俺の方がいい男だな」

 急に蒼汰はそんなことを言い出す。

「なんでですか」

「だって、なにも知らなくてピュアなのは当たり前だ。
 なんでも知ってて、穢れない心を持ってる俺の方が偉いだろう」

「今、危うく説得されそうになりましたけど。
 貴方、何処にも穢れないとこないですからね」

「なんでだ。
 俺は凛子一筋だ。

 なにも穢れてはいない」

 お前の前では、と言う。

 いや、そんな真っ直ぐな目で言われても。

 確かにこの人こそ、子供の純粋さを失わない人だなあ、とは思っていた。

 電車が好きで、猫が好きで、船が好きで、真っ直ぐで。

「……なに笑ってんだ」

「蒼汰さん、大好きです」
と言うと、蒼汰は少し照れて言う。

「言われなくても知ってる」

「じゃあ、もう言いません」

 そう言うと、ものすごく物言いたげな顔をしたので、また凛子は笑ってしまった。