密室の恋人

「だからそんなに、不遜で大胆不敵なんですか」
と言うと、

「お前……こんなときにも、ちょいちょい嫌味を混ぜてくるな」
と片目で睨んでみせる。

「でも、よかったです。
 あの人が蒼汰さんを恨んでたんじゃなくて」
と言うと、いや、と蒼汰は言う。

「より面倒臭いことになったな」

「どうしてですか?」

「聞いてなかったのか。
 俺に対する恨みなら、俺を恨めばいいだけだ。

 だが、あいつの目的は本当は違う」

「目的?」

 蒼汰はなにも言わずに、口づけてきた。

 そのまま瞳を見つめ、
「俺がお前から離れるのがいいんだろうが……」
と言う。

「えっ?
 なんだかわかんないけど、それは絶対嫌ですっ」
と言うと、蒼汰は笑い出す。

「変わったな」
と。

「一週間前は、俺のことを困ったな~って目で見てたぞ」

「わかってたんですか?」

 わかっててあれか、と思った。