密室の恋人

「蒼汰さん。
 今、どうして戻ってきてくれたんですか」

 そう訊くと、蒼汰は黙る。

「もしかして、途中から、半分意識が戻ってましたか?」

 自の身体を乗っ取った彼が、なにかやらかすのではないかと蒼汰は心配していた。

 眠りに落ちながらも、こちらを気にしていたせいで、半覚醒状態になっていたのではないかと思う。

 それでも真実を知るために、今まで、出て来ずにいたのではないか。

 蒼汰はなにも言わずに凛子を抱きしめた。

「あの人、言ってましたよ。
 蒼汰さんのせいじゃない。

 罵った自分の方が悪かったって」

「いや……」

 蒼汰は短くそう言った。

「いや、俺のせいだ。
 俺がもう少し冷静になっていれば、もっとなにか出来たはずなのに。

 初めて人が死にかけてるのを見て、俺もパニックになってたんだ。

 記憶から消しても、あのときのことがずっと頭にあって。

 だから、常に冷静でいられる自分でいようと思ってた」