密室の恋人

「あ、あの……っ」

 さっきまで、やさしく語っていたのに、そのギャップについていけずに、抵抗できなかった。

 彼は間近に凛子を見つめて言う。

「凛子ちゃん、僕のものになってよ。
 一度でいいよ。

 いいじゃない。
 この身体は蒼汰のものなんだから。

 そしたら、僕、蒼汰から離れてあげるし。

 蒼汰の夢枕に立って、詫びてもあげるよ」

「夢枕に立つとか出来るんですか?」

 彼は少し考え、
「……出来るとおもうけど。
 うーん、やってみる」
と真剣な口調で言い出した。

 思わず笑ってしまうと、
「なんで、この状況で笑うの」
 強く腕をつかんだまま、彼は問うてくる。

「いや……貴方は自分のことを悪霊とか言うけど、そんなことはないですよ」

 彼があのまま無事に生きられていたら、蒼汰とはいい友達になれたのではないかと思う。

 今となっては、言っても仕方のないことだが。