密室の恋人

 それにしても、この船は自分が今まで乗ったことのある船とは全然違う。

 そう告げると、
「でも、一級小型船舶の免許じゃ、大きさには制限あるからな。

 全長二十四メートルだ。

 それ以上は、運転できない」
と蒼汰は不満げに言ってくる。

 いや、もう、充分じゃないでしょうかね……。

「あの、ちょっと中見て来ていいですか?」
と素敵な船に、少し浮かれて、そう言った。

「なんだ、この船、気に入ったのか。
 同じの買ってやろうか」

「いや……、運転出来ませんから、私」

 死ぬ程、余計なお世話です、と思いながら、VIPキャビンを覗きに行った。