密室の恋人

「面白いねえ、凛子ちゃん。
 彼氏の身体を乗っ取られて、申し訳ないもないでしょ。

 そう。
 正解はね。

 僕は蒼汰を恨んでるんじゃなくて、羨ましいと思ってたんだよ。

 もともと蒼汰に憑いていたわけでもなかった」

「えっ」

「蒼汰が眠れないのは、僕が祟ってるせいじゃないよ。

 蒼汰自身の罪の意識だ。

 すべてを記憶から消したせいで、余計に膨らんだ罪の意識のせい」

 やはり、すべては蒼汰の気持ちひとつだったのか。

「僕が蹲ってたエレベーターにやってきた蒼汰の姿にもすぐには彼だと気づかなくて。

 ぼんやりと、こんな感じの大人になりたかったなと思ってた。

 しばらくして、あのとき一緒にエレベーターに乗っていた少年だと気づいたけれど、どうでもよかったんだ。

 僕が蒼汰を恨んだのは違う理由だ」

「違う理由?」

 彼は俯いて、ふっと笑う。